4月1日に「泥棒に入られた!」と父から電話が来た結果

エイプリルフールなんて、わたしも意識することはありませんでした。ですから2年前に父から電話がかかってきたときは、その日が4月1日だってこと自体、完全に忘れていたのです。
電話口の父はわりと落ち着いた調子で「実は泥棒に入られたらしい」と言いました。最初は何を言っているのか理解ができませんでしたし、なにかの勘違いだと思いました。父は「泥棒に入られたのは間違いないのだが、何を盗まれたのかよく分からない。いま警察が来ているからまた連絡する」といって電話を切ってしまいました。
電話を切った後、すぐに旦那に相談しました。すると旦那は「今日は4月1日だから、お義父さんはエイプリルフールのつもりなのかもしれないね」と言い出したのです。そう言われてはじめてわたしは、その日が4月1日だと気が付きました。

しかし、いくらその日が4月1日だといっても、もしも泥棒の話が本当だったらと思うと、父が心配でなりません。父は母に先立たれて以来、ずっと実家で独り暮らしをしています。近所に頼れる人もいないでしょうし、心細いに決まっているのです。そのいっぽうで、旦那が言うように、父がイタズラを仕掛けているという可能性もあります。父のイタズラ好きは親戚中が知っているほど有名で、なんでも若いころ、付き合っていた彼女の誕生日にケーキを作り、その中に合鍵を入れておいたことがあるそうなのです。その彼女とはそれがきっかけで別れたそうですから、いかにも空気を読まないイタズラをする父らしいといったところでしょうか。

結局高速を飛ばして、わたしと旦那は父の住む実家に向かいました。実家には確かに警察はいましたが、泥棒に入られたというのは父の勘違いだったそうです。父は窓のカギが壊れているのを見て、てっきり泥棒だと思ったようですが、そのカギを数年前に壊したのは、誰でもない父自身だったんです。
その後父は、警察の方にたっぷりとお説教されていました。
窓の鍵の防犯対策について